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人混み


駅前のロータリーのソメイヨシノが

待ちきれないと膨れてる

新しい春にはもう 君はいないね

改札抜けた 向こう側


ぎこちない顔の君が 人混みに消えてゆく

グレイのスーツに滲みながら

ぐるりと回したら 素早く溶けていった

一人帰り道で ふと 瞳潤んでも

負けるな、背中を押すみたいに 風が吹く


寂しくて 寄り道をしていたけれど

帰る場所があったからこそ

本当の孤独など 知る由もなく

生きてこれた気がしてる


見飽きてた筈の駅が 街並みに消えてゆく

これまで 気付かず過ごしていた

黄昏で包んだ 特別なプレゼント

まだ知らない道も まだ知らない扉も

ゆけるさ、胸の奥に 大事な人がいる


ぎこちない顔の君が 人混みに消えてゆく

グレイのスーツを着こなしても

少しだけあの日の 青臭い顔してる

違う帰り道で 同じ夕陽に見惚れる

いつかは 輝けるようにもっと 頑張るから

見守ってて

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