knock knock knock
12階のベランダから見える
色褪せたビルの上で
誰かが未明に飛び降り死んだらしい
入り口に貼った注意書きを
胸に留めてなければ
目撃者になってたのかもしれない
だけど今朝に覗いてみれば
何も残っていない
あまりに普通な日常が過ぎる
道の脇の汚れた老人が
穏やかに眺めてる
秒針に背中を押され僕は行く
幸せの形を問い質されて
分からずに途方に暮れている
目の前の紙粘土が
四角い形のまま固まって もう触れたとしても 遅い
会社までのほんの少しを
ガラスの檻で吹かす
それぞれがそれぞれの時間、場所へ散ってく
隣に立つ男の手には
重たい荷物がある
ホコリを落とすように軽く knock knock knock
空へと優しく燻る knock knock knock
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