パンドラと糸

懐かしさに 不意に 足を止めたの

ポケットで手を隠し 歩こうと誘うの

人気ない交差点 赤信号になって 二人を染める

パンドラと糸は出逢って

こっちにおいでと揺らめいて

昔の傷跡 優しくなぞるように触れる

もしもその意図を辿れば

どんな感情になるのだろう

言えない答えが冷えた夜風に逃げる

描きかけだった 未来 下書きもせず

パレットで雑に混ざって 色付けたいけれど

あなたの遠い目の先の星空には 星一つもない

パンドラと糸は出逢って

戸惑う心を手招いて

切ない横顔 紛らわすかのように笑う

もしもその意図を辿れば

どんな感情になるのだろう

浮かんだ答えがヘッドライトに溶ける

もうすぐ信号は青になる

パンドラと糸は出逢って

こっちにおいでと揺らめいて

それでも二人はそれぞれの道へと帰る

「さよなら」の意味は知らずに

ただ前を向いて立ち去って

飲み込む答えを胸の奥へと秘めて

パンドラと糸は出逢って

求める私を手招いて